当法人は、東日本大震災の起きた12年前までは、福島県双葉郡浪江町で事業運営をしていました。［特別養護老人ホームオンフール双葉、同ショートステイ（長期入所短期入所併せて154床）、オンフール双葉デイサービスセンター、浪江町デイサービスセンター、オンフール双葉居宅介護支援事業所］

その後、オンフール双葉デイサービスセンターは平成23年10月に二本松市で、特養オンフール双葉は平成28年4月にいわき市で再開しました。私たちには、移転したそれぞれの地域で、「法人の歴史をしっかり紡いでいく」という使命があります。当時の職員はごく僅かで、ほとんどが新しいメンバーですが、この使命を胸に日々努力を重ねています。

本日は、12回目となる追悼式を行いました。私たちなりの追悼です。家庭的な雰囲気の中で皆さまと心を合わせました。

追悼式が始まる前には、ご利用者様に馴染みの民謡を館内に流しました。浪江町出身の民謡歌手原田直之さんの唄う「相馬盆唄」、五木ひろしさんの歌声で「新相馬節」、三橋美智也さんが唄う「相馬流れ山」。双葉郡・相馬地区の盆踊りや相馬野馬追のお祭りで謡われる民謡ですが、ふるさとを偲びたいと思い選曲しました。民謡に静かに心を寄せると、気持ちが波立ちます。あの頃の景色が浮かんできます。涙が流れます。ご利用者様も同じお気持ちだったでしょうか。やさしく拍子をとって口ずさんでいらっしゃいました。

福島市で行われた追悼式のテレビ中継に合わせ、黙祷、献花を行いました。

時は刻々と過ぎてゆきます。あっという間の12年です。苦しみも、悲しみも、怒りも、絶望も、あきらめもあった12年間です。出会いや、感動や、感謝、喜びや、安堵、わきたつ思いもあった12年間でした。

＜追悼式施設長あいさつ＞

「皆さまこんにちは。令和5年も、3月11日、この日を迎えました。震災から12年が過ぎました。本日は、あらためて、皆さまのふるさとに思いを馳せるため、双葉郡・相馬にちなんだ民謡を聴いていただきました。懐かしいですね。

3月11日の今日も、太陽は大地を照らし、山の緑や花々、草木は風にそよいでいます。鳥はさえずり、川の水は田畑を潤し大海原に流れています。今日も、無事に生きていること、生かされていることに、感謝の思いがあふれてきます。

本日は、皆さまとともに、ふるさとに心を寄せ、天に召された方々へ追悼の意をささげたいと思います。」

これからも私たちは、ご利用者さまとともに、一歩一歩前進してゆきます。施設長　吉田